第5回シネマカフェ 開催報告
日 時:2014(H26)年5月4日(日)13:30-17:00 参加者:10名
「ホノカアボーイ」2009ポニーキャニオン 真田 敦 監督
連休の穏やかに晴れ上がった爽やかな一日でした。機材をセットし、スクリーンを張って準備する。
少しずつ慣れてきました。
本日の映像は「ホノカアボーイ」、原作は「吉田かばん」の御曹司の書いた日記が元になっているそうです。
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◆印象
・ハワイの風景(ハワイ島)のゆったりした時間を感じました。食べ物がたくさん出てきておいしいものと出会う事が生きる豊かさなのだと感じました。
・理詰めで考える事は好きですが、時には理詰めではない、そういう目で見てみるのは良い事だと思いました。単なる男と女の話ではなくてホッとしました。
・映画で繰り返し登場するシーンがあります。例えば海水浴を終わって着替えるシーン。その繰り返しが時間と変化を表していると思いました。
・単調でシンプル、深刻そうでないがそれがフッとそれて行く。そんな印象でした。
・台詞で「あなたより早くいなくなる…」というメッセージが繰り返し語られるのが印象に残りました。
・理解しづらい、と思いました。Beeさんがいなくなったのは自殺か失踪か判断できません。はかない恋でもあった。
・退屈な映画でした。青年が田舎の年寄りと長い時間を過ごして何の意味があるのでしょうか。学生が休学してやるべき事とは思えないです。青年が仕事を必死でやっている姿なら理解できますが。
・Beeさんは愛情の深い人だと思いました。むしろ業が深い、と言った方が良いかもしれません。若い女性に嫉妬していたように思います。いなくなる直前、自分の役目が終わったと思ったのではないでしょうか。若い主人公に取っては良い経験になった事でしょう。
・Beeさんはかわいい、いたずら好きな人でした。最後はレオを自分が引き止めてしまっていることで死を選んだように思います。そのメッセージをレオはしっかり受け取ったと思います。再びホノカアを訪れるのに1年かかったけれど真っ当な生活を始めたことがわかります。
・この映画は好評ではあるものの酷評もある映画ですが、どこか心に響くものがあります。Beeのレオへの恋心と絶望、でもレオのために行動した。そのようないろいろな人との交流がレオの良い経験となったと言う事だと思います。
◆奇跡と虹
・医者が「奇跡は起きるから奇跡と言うんですが」と言う台詞がありましたが、その奇跡は起きたのか起きなかったのかどっちでしょう。
・「雨と太陽があって虹ができる。」と言う台詞があったが、それだけでは虹はできなくて「あなたがいないと虹は出ない。」と言っているように思います。
・Beeがピーナッツを入れた事を最後まで謝らなかったのは気になります。
・ハワイのあの地方では人は死んだら風になる。海がなかったらみんなない。という自然と非常に近い感覚があるのだと思います。
・レオの生き方には古い言葉だが、高等遊民的生き方だと思います。
・「虹が見れてよかった」とBee言いましたがレオと共有できていません。レオに出会ったBeeは恋心を抱いてたが、レオはそうではなかったと言っているようです。
・映画ではBeeの目線で月の周りがぼやけて虹が見えていたシーンがあるので、Beeは虹を実際に見たと思います。
・レオが月を見たのは事実。しかし虹を見たのはBeeだけでした。
・奇跡は起こったのか、起こらなかったのか、奇跡は起こらず目は見えないままBeeは絶望していなくなったのか、と思います。
・奇跡は起こったと思います。Beeは目が見えるようになったけど見えないから世話をしていてくれるレオとの関係が維持できないと気付いたのではないでしょうか。
・原作は日記が元になっているので、自伝によくありがちは美化があると思います。ひょっとするともっと濃密な関係などはカットされているだろうと思います。
・レオが感じているのは自分との関係やBeeの側から離れられない、Beeは事故で死んでいると思う。
・Beeの心の軌跡をたどると、年の離れたレオに心を寄せるものの、そばに居る関係以上には成れない。つぎにレオに若い恋人が現れると失明してしまう。失明によっていっしょには居るのだけど望んだ関係ではない。ずっと共有できない関係が続いていました。
◆高等遊民または無神経
・「都合が悪くなるとすぐ黙る」という台詞がレオの性格を良く表して、レオは無神経だなと思います。
・レオの姿は高等遊民とはすこし違って現代の無気力な若者の姿であって、高度成長期のように必死になればそれなりに得られるものがあった時代と、何をやっても大して得られるものがない時代を象徴していると思います。その青年が自分で腑に落ちる経験をしている。大人になって行く事で失ったものがあることを表しているようです。
・田舎や映画館などの斜陽産業をモチーフにすると言うことは、偏見かもしれないが、ありがちなパターンだと思いました。
・ブロガーらしき3人娘が登場するのが皮肉を利かせていますね。
◆フラが伝えた事
・コイチの葬儀で海の見える丘の上でフラを踊っているのが印象的でした。葬式のときに踊るフラがあるのですね。
・フラは所作に意味があるので、踊りでコミュニケーションを取っているのでしょう。Beeが月夜にフラを踊るのもハワイの人が見たら意味が分かるかもしれません。
・田舎の限界集落とか無縁社会にあって若者が一人来る事で出会いや刺激が生まれています。Beeも猫以外にご飯を作る事が長らくなかったようですね。
・月や星を見る生活とそれを見ない生活、決して時代が異なるのではない同時代なんだけど場所によってこんなに違うというのが印象的です。
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参加していただいたみなさま、ありがとうございました。
例によってモヤモヤを抱いたまま一夜あけると、レオの無神経さをレオは後悔しているのではないかな、と今思っています。
レオの失ったものは手に入れたと言う感覚がないまま失ったものです。Beeは自分を立ち去ったものと言う感覚でしょうか。
そして取り返しがつかないから取り返すような事はしないのがレオの姿だったように思います。それで良いのだと思います。
葬送のフラは印象的でした。去った人が風になる、その風に私を訪ねてきてください。と言っているようでした。
次回は6月22日(日)同じ場所です。西富松会館集会場にて 13:30−17:00 ドキュメンタリー「マーダーボール」の予定です。
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- 2014/05/05(月) 12:28:10|
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