「ヤングケアラーミーティング」と子どもたちとの対話
2019年9月14日(土)、尼崎市こども政策課主催の「ヤングケアラーミーティング」に参加してきました。小学生3名、中学生1名、大学生4名で行った対話の進行をしてきましたのでその様子をお伝えします。
***************************
朝9時45分に集合して参加者同士の挨拶もそこそこ、マイクロバスに乗り込み猪名川町へ向けて出発しました。
尼崎市立青少年いこいの家へ到着すると、大人たちはBBQサイトの設営を、子どもたちはボールを借りてボールけりを始めます。
子どもたちは兄弟が一組、もう一組は違うグループからの参加のためか、なかなか混ざり合うことがありません。炎天下であっという間に汗が噴き出るなか、兄弟が上手にやっているのを見て他の小学生は早々に切り上げて日陰に入っていきます。
私は頃合いを見てボールけりを続けている兄弟に加わります。ボールを取り合うのはへたくそですが小学生には負けないぞ、と思って一所懸命になります。
しばらく相手をしていると、大学生二人が声をかけてきました。5人でボールを回して遊びます。ひとしきり遊んで休憩します。
兄弟は休憩したくないのかそのまま遊び続けます。やがていったん離れていた二人が加わって4人でボールけりを続けます。その様子を見て私はもう加わらなくてもよさそう、と思い今回の企画に誘ってくださったこども政策課の内田さんと話をします。
8月に訪れた山王子どもセンターの話やぐれいぷハウスの子どもの様子などを話しているうち、炭に火が回って肉が焼かれ始めました。
汗だくの子どもたちも加わって、たくさんの肉・ソーセージ、シイタケ、ピーマンもおいしい。凍りついた肉をはがしながらトングで網に並べます。たくさんあるのを次から次へと焼きます。まずは子どもに食べてもらい、大学生たちにも食べてもらい最後に大人達が食べます。
お腹いっぱいになった子どもと大学生たちが近くの道の駅までジェラートを食べに降りていきます。
内田さんと話の続きを始めると、「赤井さん、フリートークミーティングの司会をしてもらいたい。」と言われる。「はい、いいですよ。」と答えて今日のフリートークの目的などを聞きます。いくつかポイントがあるようですが要は子どもの本音が聞きたい、ということのようです。
さて、進行をすることとなったので急いで組み立てを考えます。
・小学生がいるので時間的には40分程度までだろう。
・まだ打ち解けた関係ではないので、アイスブレーキングが必要だろう。
・どうやって座るのが効果的かしら。
・コミュニティーボールが欲しいが毛糸はない。代わりになるものはないだろうか。
・肝心のミーティングの目的やルールをどうやって説明するか。
などと考えます。
まず、コミュニティーボールは、ボール遊びで借りていたバレーボールを使うこととしました。椅子は丸く並べることにして、アイスブレークに椅子取りゲームをして大学生と子どもたちが交互に座ってもらいます。ルールは最低限、コミュニティーボールの使い方と思い切った発言をしても大丈夫だよ、と伝えます。
たまたま参加している大学生の名前の頭文字がそろっているのに気が付いたので、それをネタに口火を切ることにしました。
ジェラートを食べ終わって子どもたちが帰ってきたところで、内田さんの発声で「普段言えないあんなこと。この機会にぶっちゃけてみよう!!」を始めます。コミュニティーボールの使い方やルールを説明した後で、「何かしゃべって」と隣の小学生にコミュニティーボールを渡し、自分の名前と今思っていることを言ってもらいます。
しゃべってくれるかなと言う心配をよそに、学校や家庭のこと、友だちへの思いなどが色々と出てきました。その内容からは、子どもたちが自分ではどうしようもない環境の中でバランスを懸命にとっている様子が伝わってきます。周りから非難される自分を癒すために他に非難する対象を探しているのかなと考えました。
歳の近い大学生たちがいたことも話しやすくなった要因なのでしょう。少し前のことを振り返りながら話してくれたことが小学生たちにとっては先々を見通す目印になるのではないか、と思います。
約40分の短いセッションは終わりました。内田さんの期待にお答えできたかなと思いながら子どもたちとの対話ができたことをうれしく思いました。
片づけをして帰りのバスの中、子どもたち4人がひと固まりになって遊んでいます。あっという間に仲良くなって「また会おうな」と言いかわしながら帰っていきました。
**************
普段私が行っている哲学カフェは一期一会だともいわれています。一期一会ではない対話の関係を何というのか・・・対話に佇むとでも言うのでしょうか。
子どもたちと一緒に対話の縁に佇むことで子どもたちの変容を続けて見ていくことはp4cの一つのあり方のような気がしています
スポンサーサイト
- 2019/09/20(金) 15:04:14|
- あまがさき哲学カフェ開催報告
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
第2回p4cたちばな「子ども哲学カフェ」~反抗するのはなぜか~
9月に入りました。今年の夏もいよいよ終わりですね。2学期が始まって最初の日曜日、中学生が参加して第2回子ども哲学カフェを行いました。
3名で行いました。
まず、毛糸を巻いてコミュニティーボールを作ります。自己紹介と最近の出来事を披露していきます。すると、昨日、お母さんとケンカしたと言うある中学生の話から「反抗するのはなぜか」と言う問いが立てられました。
********************
コミュニティーボールを回しながら、反発する理由を話していきます。はじめのうちは自分の考えていることを分かってもらいたいから、とか伝えようとしても相手が聞いてくれないので、大きな声や乱暴な言葉づかいで反抗的態度になる、など自分を分かってもらいたいと言う思いから反抗する、と言う話が続きました。
すると、実は私は反抗期がなかった、と言う意見が出ました。なぜ反抗しなかったのかと言うと、「反抗や争いのネタそのものを無視することで穏やかに暮らせるほうがよいと判断していたと思う」とのこと。
どうやら、反抗の理由はほかにもありそうです。
すると、「小学生のころ、友達が親に反抗していて、それがカッコイイと思われたから」とか「反抗したことがなかったが、反抗して言いたいことが言えたら、スッキリした」、「強い人に反抗することは正義だみたいに思っていて、達成感があった」などの話が出ました。どうやら、反抗することで自己肯定感を高めているのかもしれません。
ここまで話が進んできて、反抗の理由は、具体的に相手に分かってもらいたい事柄がある場合と、感情的にわかってもらいたい場合があるようだ、という意見が出ました。
また、反抗される側の話にもなりました。思わぬところで反抗されると慌てます。何に反抗しているのか、すぐに理解できる場合は長引くことはあまりないようです。しかし、それが分からないと困ります。おまけに分からないと反抗している人が感情的になってくるので、さらにわからなくなる。
反抗した後の始末はどうなっているのでしょう。反抗することでスッキリする場合、反抗はしたけれど相手に変容を促す効果はなかった場合、そして反抗そのものをやめてしまう場合などがあるようです。
反抗された側は、反抗する側の力量を見極めているのかもしれない、と言う意見が出ました。反抗することに到着点はなく、いつの間にか収束するのではないでしょうか。反抗された側が反抗する側の力量を見極め、充分だと認めれば反抗された側のテンションが下がって、それに伴って反抗する側も落ち着く。その結果反抗そのものが収まる、と考えるとどうでしょうか。
中高生6年間の成長を見ていると、最初反抗していても卒業前にはそのような態度が収まることはよくあることのようです。その一方で反抗期のない子どもが増えているのはなぜでしょう。
*******************
このあたりで時間となりました。休憩なしの1時間半、人数は少なかったですが反対にしっかり話ができたように思いました。
反抗期とは、子どもがモノが言えるようになりそれを試している期間なのかもしれません。
反抗を手掛かりに、子どもだけではなく、大人の世界も考えてみることができるかもしれません。
次回は10月6日(日)10時半~12時 です。
対象はだいたい小学校中学年以上高校生まで。参加費無料。会場はJR立花駅から南へ徒歩5分、ぐれいぷハウスです。養育者の方の付き添い可能です。見学、相談などもどうそ。
お問い合わせは080-6144-7331赤井までお気軽にどうぞ。
- 2019/09/01(日) 14:42:08|
- あまがさき哲学カフェ開催報告
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0