手ほどき哲学カフェ はじめの一歩 開催報告
平成27年12月12日(土)に「手ほどき哲学カフェ はじめの一歩」を開催しました。講師にカフェフィロ代表の松川さんにお越し頂き、哲学カフェについてのレクチャーののち、「親切とおせっかい」をテーマに哲学カフェを体験しました。以下、当日の様子をお伝えします。
==== 手ほどき哲学カフェ ====
哲学カフェ初心者向けに企画したイベントでした。初参加の方や参加経験2〜3回の方がほぼ半数おられました。ベテランの参加者の方々には場を盛り上げていただき、男女ほぼ半々でバランスの良い会になったのではないかと思います。会場の尼崎市地域総合センター南武庫之荘は駅から遠く少々不便なところでしたがたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
はじめに「手ほどき哲学カフェ」として日本で哲学カフェの普及に大きな働きをして来たカフェフィロ代表の松川さんにお話をしていただきました。
事務局の不手際で松川さんが用意していただいた資料をプロジェクターで投影できず、申し訳ありませんでした。哲学カフェ発祥の地、パリの「カフェ・デ・ファール」や日本での哲学カフェの様子を用意して頂いていたのですが、残念でした。
幸い松川さんが用意して下さった配布資料を参考に哲学カフェとはどのようなものなのか、哲学と聞いて堅苦しいイメージを持ってしまいがちなところを「楽しめるようになること」を目的の一つとしていることを知っていただけたかと思います。
その上で、他者と一緒に考える対話、他者のありがたみを感じるような対話が本当に可能なのか、どのようなものなのか体験していただく「哲学カフェはじめの一歩」を行いました。
==== 哲学カフェはじめの一歩 ====
テーマは「親切とおせっかい」・・・確かにその境い目は曖昧、区別ができそうでできない感じがします。進行役は松川さんに行っていただきました。黒板のある会場だったので板書をしました。街中の「カフェ」で行うとき板書はできませんが、議論を振り返ることができる板書は便利だったと思います。
「手ほどき哲学カフェ」で説明された発言するしないは自由、挙手して発言する、手短に発言する、異論・反論は積極的に、他人の話は最後まで聞く、一方的に信条を押し付けないことをルールとして始まりました。
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・まず、親切とおせっかいは善悪と対応するのではないかというご意見から始まりました。親切は良いことで、おせっかいには見返り期待が感じられ悪だと言うご意見がある一方、おせっかいされることが好きかもしれないと言う方もいました。一見対立するようなご意見でしたが、両者ともに相手には支配するな!と言うことを求めている点では共通しているようでした。
・親切、おせっかいの例として家の前の落ち葉を掃除するという行為を考えてみました。お隣がご親切にも自分の家の前も掃いてくれたとします。1回目は親切だなと感じても2回目からはおせっかいだな、と感じるでしょう。さらに回を重ねると、なにかお隣から落ち葉の掃除を強要されているような、恐怖すら感じる。親切だったものが義務となりいやがらせが始まり、腹立たしい迷惑な行為に変化していく。親切とおせっかいの延長には恐怖が待っている!?というご意見が出ました。
・親切もおせっかいを通り越して恐怖を与えるに至ってしまわないためには、意思を伝えることが大切ではないか。お隣さんは何のつもりで落ち葉を掃いてくれるのか、落ち葉を掃いてもらった側はどう感じているのか、同じ行為でも相手の受取り方を確認する必要があります。ここでは、主体性と相手の受取り方が対立しているようです。
・では、相手にどのように聞くのか、それは相手に意思表示のチャンスを与えることになります。しかし実際相手が親や上司では難しいのではないでしょうか。フラットな関係ではない上下関係があると、伝わるものも伝わりにくい。親切とおせっかいにはコミュニケーションの問題も絡んでいるようです。
・親切心も受取る側がピュアでないと受取り方をするとおせっかいと感じるでしょう。そこで、一歩引いて見ると良いと言うご意見が出ました。大切なところだけ、余分なものを切り捨てて受取る態度が有効ではないでしょうか。
・おかしいな?と思うのは昔話で田舎をたずねて来た客人になにもおもてなしするものがないので、親を切り刻んでおもてなしをしたと言う怖いお話があります。これって親切を受けるのがいいのか、逃げ出すのが普通なのか考えさせられます。
・おせっかいは悪とか嫌がらせとかネガティブに捉えられていますが、許せるおせっかいもあると思います。許せないおせっかいに対して迷惑だと思えば、相手の好意を無効化するするように私たちは反応するようです。これらの反応は文化によるものだと思います。文化によって人と人との距離感が決まっていて、互いに意思表示できる関係性や、できない関係というのがあるのではないでしょうか。
・人と人との距離感を縮めるおせっかいは好きかもしれません。おせっかいが人と人との距離を縮めることもあるようです。
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松川さんのゆったりとした的確なファシリテーションで、わかりやすい安心できる哲学カフェでした。
今回のイベントでは参加者のみなさまにアンケートをお願いしました。下記にその一部をご紹介します。
アンケートの結果
・参加者15名(女7名、男8名)中、11名(女6名、男5名)がアンケートに応えてくれました。
・哲学カフェの初参加者は5名、2〜3回2名で約54%を占めました。
・インターネットを見て参加いただいた方が3名、ポスター1名、その他は口コミでした。
・良かった点は、
面白かった・いろんな意見が聞けた各8名、楽しかった・考えさせられた各5名、しっかり話せた2名
・良くない点は、
わからなくなった1名
頂いたご意見(一部抜粋)
・色々な意見が聞けてとても楽しかったです。
・日常生活でモヤモヤしていたことが今日の話の中でも思い当たることもあり、考えさせられました。
・自己紹介なし、発言をしてもしなくても自由なのは気が楽で、とても良いと思いました。
・女性同士のおしゃべりの機会は沢山あっても男性の意見を聞くことがほとんどないので参考になりました。
「手ほどき哲学カフェはじめの一歩」の開催報告は以上です。
今年も残りわずかとなりました。武庫之荘哲学カフェ運営委員会では初心者向けのこのようなイベントの実施を今年度の目標にしてきました。イベントの概要などはカフェフィロの松川さんにお願いして構成していただきました。松川さん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
私たちは4年目となる来年も積極的に活動して参ります。日常を少し離れた哲学カフェの場で他人と話をする、対話することを多くの方々と共有できることを目指して、来年も皆さまのご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
では、皆さまよいお年を!
武庫之荘哲学カフェ運営委員会代表 赤井郁夫
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- 2015/12/30(水) 23:42:41|
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